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破棄された論文の束

意外とこのブログ一日100回くらい読まれてるっぽいです

001-JPの話(鬼穴)

SCP Foundation 日本支部 001提言

たまにはJPのものも紹介します。

f:id:atthug:20170111180305j:image

 

 

このブログでJPを紹介するの初めてなのでまずそっちのことも紹介します。

日本版のSCP公式サイトで、通称「日本支部」。SCP-番号-JPで区別されます。jokeやexplainedの記号はJPの後ろにつきます。JP紹介終わり。

日本支部とはいえ例に漏れず、SCP-001-JPは特殊な物です。この「鬼穴」は特に大好きなので紹介します。

 

虎屋博士の提言

「鬼穴」

 

 

 

 

 

New! 

新規アクセス権付与のお知らせ
あなたのアカウントに新しいアクセス権が付与されました。内容を確認し職務に就いてください。

 

 

 

 

オブジェクトクラス:Keter

私/我々は、この措置に反対する。このオブジェクトは即刻SCP指定を解除すべきである。

 

特別収容プロトコル
SCP-001-JPの情報は一部職員にのみ開示されます。対象職員は心理試験で基準値を超えた人に限り、またその試験を受けられるのは一度きりです。SCP-001-JPは隔壁と迷路を備えたサイト-8101に囲まれ、徹底した情報規制が敷かれます。メンテナンスの必要な備品は、機密保護の観点から配備されません。

私/我々は、この措置に反対する。SCP-001-JPに関する情報は全人類に公開されるべきである。SCP-001-JPは人類の恒久的平和と平穏を約束する唯一の手段である。君/君達に私/我々の権限を持って一時的にアクセス権を与える。内容を読み、哀れと思ったならばどうか私/我々に協力してほしい。

 

概要
SCP-001-JP(以下鬼穴)は、島根県に存在する異次元トンネルみたいな穴です。直径は17m。北東側からのみ観測と出入りが出来、厚みはありません。内部には洞窟があります。ドラえもんのタイムマシンで作成される穴のデカイ版とおもえばいいかも知れませんね。
ちなみに余談ですが、北東側というのは鬼門のある方向です。昔の日本の方位でうしとらの方角とされる方位です。北を子(ね)にして時計回りに子丑寅…とした時に丑の方位と寅の方位の真ん中になるので、うしとら(丑寅/艮)です。陰陽道では北と西が陰、南と東が陽なのでその境目が不安定になるとして忌み嫌われているのが起源とされています。そこから転じて鬼というのは牛の角と寅のパンツを履いてます。
閑話休題
鬼穴内部の洞窟からは人に似た実体(SCP-001-JP-Aと指定。以下"実体")が多数出現します。実体との会話や確保収容保護は禁止され、必要な時には重火器や鏡を用いて無力化されます。なぜ鏡かというのはもう少し後です。
実体は人語を話し知性を持ち、代謝が停止しており食事や排泄も必要ありません(しようと思えば出来ます)。神経系は活動していませんが身体を動かすことはできます。ただ、腕の神経が切られたことを本人が認知すると動かせなくなるようです。なので、無力化の際には頭部か心臓を破壊し、更にそれを認識させることが必要になります。なので鏡が必要なわけですね。実体は見た目は完全に普通の人間なので、出てきたらさっさと無力化しないとめんどくさくなります。元々は蒐集院*1が管理しており、蒐集院によれば、少なくとも紀元前900年頃から確認され、様々な組織よって管理されていました。
実体は穴に近づいた人間の近縁で故人の姿をする傾向があり、更にその姿の人物の特徴を持っています。この実体が無力化されたとしても、生成の選択元となった穴に近づいてたさっきの人間が移動しなければ再び生成されます。再生成時は無力化時の記憶を有しますが、それに対する反応はまちまちです。実体は現実社会に戻ろうとしたり、特定個人と面会をしたがりますが、認められません。

私/我々は、この措置に反対する。SCP-001-JP-Aとされた者の中には、私/我々の親友も、妻も、子供もいた。彼らは私/我々の家族を、無残な姿へと変えた。それも一度や二度ではない。なぜ彼らは幾度も死なねばならぬのか?彼らに課せられた罪はそれほどに重いものなのか?

なお、途中から心臓や脳を破壊しても無力化できない個体も現れ始めました。この個体はおそらく何度か無力化され、心臓や脳が破壊されても"自分が死なない"ということに気付いた個体だと思われます。その個体については、ぶっ殺して洞窟の内部で他の個体にそれを喋り、他の個体までもが不死性を持つことを恐れた財団によって収容されました。が、とある財団職員によりその個体達の収容施設は爆破され、ほとんどの個体が無力化されました。その財団職員はもちろん鬼穴について多くの知識があるので、こいつを生成する原因になりうる人物の鬼穴への接近は禁止されています。

私/我々は、反省している。全ての個体を無力化できなかったのは痛恨の極みだ。しかし人材を送り込むことには成功した。きっと次はうまくやるだろう。

とある団体が鬼穴の情報開示及び解放と、実体の人権を主張し始めました。活動内容から財団にスパイがいる(或いは財団職員で構成されている)と考えられています。これ以来鬼穴に担当させる前に十分な身辺調査が行われるようになり、身内で故人がいる場合は特に制限されます。財団では鬼穴の解放は、死者と生者の比率からSKクラス支配シフトシナリオが起こると考えており、行われません。

私/我々は、彼らと袂を分かつことを決めた。あくまで水面下でのことだが。私/我々はいつの日かSCP-001-JPを開放し、安寧の世界を作り上げることを夢に見ている。君もそうなってくれることを心から願っている。

補遺4にはサイト管理者からの、実体が財団職員と入れ替わってるかもしれないという報告を受けたことによるSCP-001-JP-A発見プロトコルを全職員に行うことの提案と、それに反対するO5-■の履歴が残っています。

 


考察
さてこの鬼穴、内部からは死者の特徴や記憶と外観を持ち、意識によっては不死にもなりうる実体が出現します。実体は必ずしも敵対的ではありません。ただそれだけです。なぜこんなにも情報漏洩を防ぐのか?なぜSKクラスが起こると予想されるのか?
考えてみれば単純なことで、こっちの方が人類が幸せになれるからです。
え?と思う人もいるかも知れませんが、この実体はメシを食う必要もなく、死なず、老いず、とかなり良い身体です。しかも、死んだ後に知人が近づいてくれさえすれば誰でも復活でき、故人に会うこともできます。腹が減らず怪我もしないと考えれば大半の人は幸せになると思います(もちろんそうでない人もいますが)。
本文中で言及されていた鬼穴の解放や実体の人権を主張していた団体というのが、こう思った人たちでしょう。そもそもこの記事は誰かから急に閲覧できる権限が付与されたことで見ているという設定です。その権限付与してきた人物(本文中に度々登場するメッセージもこの人)はその団体の人でしょう。もしかしたらこの人たちも鬼穴から出てきた実体かも知れません。補遺で発見プロトコルに反対したO5ももしかして……という感じです。収容施設の爆破も関わっているでしょうね。という感じのネタです。
そして、個人的には、これをSCP認定し秘密保護し続けている財団の姿勢もまた重要です。
この実体たちは、まあ恐らくは本当に故人本人でしょう。彼らは人類に敵対的であったり、支配権を奪おうと目論んでいるわけではありません。この実体たちが社会に紛れ込んだとして、社会が破滅したりなどもありません。それでも何故財団は再三にわたって隠し続けるのか、それは"正常な生活"を維持するためです。たったそれだけ。


財団の目標は、世界を守ること、世界をより良くすること、人類を幸福にすることではありません。正常性を維持し続けることです(正確には"異常な存在による現在の正常性の変化を防ぐ"だと思いますが)。この鬼穴の解放によって多数の人たちが幸福に成ると、"今までの正常な生活"は崩壊します。ですがそれは単純により良くなるだけです。
火、時間、農業、国家、宗教、蒸気、電気、飛行機、インターネット。人類の社会は様々な異常でないものの発見/開発と普及によってその都度発展し、生活は一変します。それは旧時代の生活の崩壊ではありますが、同時にその恩恵も十分にあります(古い時代が必ずしも悪、未発展というつもりはありません)。鬼穴は、解放されたとすればそれらと同じように、人類の生活を一変させ、旧時代の生活を破壊するでしょう。食うに困ることが無ければ餓死もなく、人から奪う必要もありません。人は死ぬことはありませんし、それは死ねないのとも違います。故人に会いに行くことも、もう一度話すこともできます。いえ、それどころか再び生活することもできるでしょう。足の悪い人は意識すれば走り回ることができ、病気で弱った体も健康な頃のようになります。それはとても素晴らしいことではないでしょうか。ですが財団では行いません。鬼穴は「異常」だからです。

似たような件として、SCP-2000(機械仕掛けの神)があります。これはどちらかというと「正常性が保たれていれば良いや」とでも言いたげですが。2000はKクラスシナリオによって人類が大量死した後、文明を再構築するthaumielのオブジェクトです。再構築と言ってもその方法は、非特異人間を作り出し、任意の年齢に成長させ記憶を埋め込み、都市部を作り、再び生活させるというものです。これは最低でも過去2度は起動されています。よくよく考えてみればこれをthaumiel認定してるの気持ち悪くないですか?もう既に人類は滅んでいるのに、人類をもう一度作って、その人類をまた異常から守る。お人形遊びじゃないですか。新しく生きている人類にとっては自覚はありませんが、既に滅んだ人類をまた異常から守るごっこをするために復活させられてるんですよ?この気持ち悪さわかりますかね?"正常な生活"は確かに取り戻されていますよ。それでももうこの生活はとっくに終わった世界の偽物なわけです。財団はこのごっこ遊びをいつまで続けるんでしょうね。

 

 

とまあ最後の方はなんか財団をボロクソにこき下ろしてるだけの記事になりましたが、とにかくSCP-001-JP、鬼穴の紹介でした。他のJP記事もそのうち紹介するかもしれません。014のJとEXとか、あかしけやなげとか、よろしくおねがいします。

*1:蒐集院は陰陽道やら占いやら呪術を行う日本版の要注意団体で、財団が日本に出来るまでは異常存在に対抗する最も大きな組織でした。財団日本支部が出来てからはいくつかの技術や情報が引き継がれました。まだ残党はいますが。