読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

破棄された論文の束

権利関係がよくわからなくなってきた

SCP-2688の話(エナンム)

 

SCP-2688 エナンム(Enammu)

SCP-2688 - SCP Foundation 非公式日本語訳wiki

SCP-2688 - SCP Foundation

by Cyclopian

 概要、文書、インタビューログ、探索ログ、まとめ で構成してます。

 

概要

クウェートのブリヤン島にある少人数の村です、地下にはでっかい空洞があります。

f:id:atthug:20170215103658p:image

住民(SCP-2688-A)は身体的な奇形を持ち、言語や文化が他のクウェート人と異なり、なんかアッカド語とかアラム語とかクリオール語?みたいなのを話してるらしいです。まったくわからん。そもそもクウェートってなんだよ。村に持ち込まれた生体内の物を除いた液体の水は体液的な物に変わります。ついでに村ではナンムという神が信仰されてます。あと排他的。
ナンム神は実在するシュメール神話の海の女神です。実在?いや実在はしないと思いますがSCPオリジナル神というわけではないです。原初の神であり創造神に近く、容姿は「蛇の頭を持つ女神」です。また、メソポタミア神話のティアマトの原型らしいです。ティアマトは女神で混沌を表します。SCP的に考察するならヤルダバオートの別の信仰形かと思っていました。まあ「女性」「創造神」みたいなあたりからの連想ゲームでしたけど。今は違うと思ってます。

f:id:atthug:20170215104315j:image

↑ナンム(多分)
紀元前4100年頃に建てられたと思しきジッグラトが見つかってます。ジッグラトというのはメソポタミア文明の搭状の建造物です。これ自体は普通のジッグラトですが、オーパーツです。
この一帯は紀元前4100年から紀元前1200年まで居住されていましたが、北から何者かに侵略され一旦放棄され、その後紀元前300年ごろにヘレネス人とバビロニア人が再度居住。紀元前200年から紀元900年には現住民のような症状があったらしいです(ミイラが見つかってる)。
紀元前1200年頃と言えば、アディウムと周辺国の大戦があったころですね。具体的な年号が判明して居ないためよくわかりませんが、アディウムに侵略されたんでしょうかね。その後900年くらいしたら一部の人種が住み着いてます。

 

ジッグラトから回収された文書

f:id:atthug:20170215110808j:image

↑ジッグラト
紀元前300年のアッカド語の創生神話

ナンム信仰が見られる。ナンムが毒蛇、龍、恐ろしい巨人、熱病、叫ぶ猟犬、サソリ男、ウンカ(小さいバッタみたいなやつ)、人魚、羊を作ったと書かれています。

紀元前300年のアッカド語の占奇形術集

子供の奇形の状態で占いがされてた痕跡があります、タチの悪い血液型占いみたいな感じですね。「右耳が2つで左が無い子供が生まれたならナンムは平穏で居る」みたいな感じです。趣味が悪い。あとついでにコズミックウォーター(Cosmic Water)の支配者という単語が出てきてます。場合によってはナンムはコイツにへりくだるそうです。原初の神が?誰にへりくだる?コズミックウォーターでググってもなんか水素水的な商品ばっか出てくるので神話的な用語かどうかはよくわかりません。とりあえず直訳すると宇宙水、胡散臭い。

紀元前300年頃のギリシア語の礼拝文

闇と水の深淵以外〜というのは混沌とか光のない世界のことでしょうね。その中に現れた人々の中には羽が生え一つの体と二つの頭があった奴らも居たそうです。他の奴らは山羊の角や脚を持つ奴、馬の脚を持つ奴、ケンタウロス擬き、くだん擬き、などなどのキメラが居たそうです。あとSCP-939。こいつらを生んだのは女/ナンムであり、コズミックウォーターのアルコーン(!)が現れ女を切り裂き半身をそれぞれ天と地に置いたそうです。

アルコーンが出てきましたね。アルコーンはサーキシズムお馴染みヤルダバオートがメカーネに閉じ込められる前に産み出した6体の神格です。元ネタはグノーシス主義。ナンムとヤルダバオートが同一のモノと考えては居ましたが違うんでしょうか?可能性としては
①ナンム≠ヤルダバオート
②ここでアルコーンと呼ばれてる存在が実はメカーネ(あるのか?)
③この文章を書いた人物の捉え方が間違っており、実は普通にナンム=ヤルダバオートでアルコーンはヤルダバオートがメカーネに倒される前に産み出された。
くらいでしょうか。③が普通な感じもありますが、先の資料では場合によってはナンムがコズミックウォーターの支配者にへりくだるともありましたね。

コズミックウォーターの支配者=ヤルダバオートと考えれば、ヤルダバオートやアルコーンたちの勢力がコズミックウォーターと呼ばれており、それとはまた別のナンムという神がいたという風に考えられます。ヤルダバオートやメカーネたちがいた頃の混沌たる宇宙には他の神々も居たらしいのでナンムはその中の一柱でしょうかね。そこらへんについてはSCP-2510(我らの壊れたる救済)に書かれてることを参考にしてます。というかそもそもナンムはキメラを産んだと書かれてますが、ヤルダバオートが産み出したのは人間です。ヤルダバオートが吐き出した神々の遺骨にメカーネがイデアを授けて産まれたのが人間らしいですから、そこから違いますね。というわけで個人的に①のナンム≠ヤルダバオートじゃないかなぁ……と思います。

紀元前1200年前のシュメール語の手紙

これはとあるパパから娘へと書かれた手紙です。正確にいうとミカンニュのしもべにして精神の守護者の娘へ向けて、ミカンニュのしもべかつナンムの司祭である父、ジーウースードラが書いた手紙です。ジーウースードラというのはシュメール神話に伝わるエンキ神から神託を受けて船を作り洪水を乗り切った男の名前です。旧約聖書ノアの方舟の元ネタですね。

f:id:atthug:20170215104921j:image

↑ジーウースードラ

ミカンニュについての脚注には

この5つのサイン(MI、KA、AN、NU)は音声的に翻訳されたことを示すと考えられています。これらは他の言語の固有名詞の訳を表している可能性があります。

と書かれてます。多言語の固有名詞を音声的に翻訳…とあるのでもしかしたら口語的に伝わったメカーネ(mekhane)という語をシュメール語で書いたものかも知れません。音も似てますし。また、「精神の守護者」の部分がURLになってて壊れた神の教会に伝わる文書的なものに繋がってるので古代メカニト(メカーネを信仰する国)だと思います。というのもミカンニュ=メカーネの根拠(になるのか?)です。
手紙の内容は戦争をほのめかすものであるので、恐らく同時期に起こったイオン率いるアディトゥムの周辺国の大戦のことについて触れてるものと思われます。ギャロス包囲戦とかね。また、魔術王は腐りし[世界/”外部の地”/後世]から立ち上がる、コズミック・ウォーターの主は彼の命に従う。とあります。ナンム信仰している人物の書いた手紙でこのように書かれている以上、ヤルダバオート≠ナンムでしょうね。コズミックウォーターの主というのがヤルダバオートです。ヤルダバオートはイオンに従ったものとされているので(実際どうなのかは知りませんが)、それ自体は間違い無いと思います。

あと

コズミック・ウォーターの主はナンムの[家/寺院]を探しているが、父には理由はわからない。
もしもナンムの[家/寺院]が取られたならば、失われてはならぬミカンニュの血は失われるだろう。

とも書かれてます。コズミックウォーターの主はヤルダバオートでしょうか?だとしたらヤルダバオートが何故かナンムの寺院を探している?まあどちらにしろヤルダバオート勢力が探していることには変わりませんね。なぜ?さぁ?父には理由はわからない。

 

住民へのインタビューログ
インタビュー対象のSCP-2688-A5は73歳の男性で、左目に小さな眼窩内腫瘍と、右目から約2センチ上に位置する痕跡的で機能していない追加の目を伴う、異常に肥大した右眼窩を持っているそうです。左目がなく右目が2つと捉えるなら、奇形占いによると「ナンムは子らをお生みになり、土地は平和となるだろう」だそうです。結構良いですね。彼らは大昔に集められ、ディルムンを探すために送られたそうです。ディルムンというのはメソポタミア文明インダス文明の物資の集積地だそうで、古くは紀元前4000年くらいに確認されて居ます。また、神話的に意味のある土地らしく、ジーウースードラが神々に永遠の命を得た場所、創生神話の舞台、です。エデンの元ネタ説があるくらいなので当時の人たちからしてみれば聖地?というより邪馬台国?くらいの場所でしょうね。
そして、彼らの祖先はカルキスト・トゥルヴァに集められた「サーキックの謎(Sarkic Mysteries)」だったそうです。恐らくカルトの名前でしょうね、つまりはプロトサーキック。排他的なのもプロト-サーキックによくありますね。

彼らはこの土地がナンム/ティアマトの身体の上に在り、それによって神秘的な力を得られることを知って喜んだそうです。身体的な奇形はナンムが子宮に働きかけて起こっています。この民族はナンムと共生関係のような状態にあるらしいです。ナンムの姿を楽しみお返しにナンムの子供を産む。と。そして彼らはそれを続けることで神格化を目指して居ます。つまり、プロトサーキックがナンム崇拝に変わってしまっているわけですね。ナンム崇拝の様子については

SCP-2688-A5: この村は病める神の上に横たわっている。腐った怪物、その熱病の呟きが我らの肉を形作る。これは計り知れない賜り物。我らは神の蠅、蠅は病と死の饗宴を作る。

SCP-2688-A5: ナンム、ティアマト(Tiamat)、彼女は様々な名前で呼ばれる。彼女は我らの民の子宮に語りかけその中で肉を形作る、彼女の秘密、彼女の欲望を我らに語りながら。我らは彼女の腐った姿を楽しみ、お返しに我らは彼女の子らをこの世に生み、彼女をたたえ、彼女の力を高める。

アフマディ博士: そして何が起こるのですか?

SCP-2688-A5: わ…儂は知らん。じゃが儂は我らが民は神となると信じとるよ。

の部分に集約されてます。まあこれはあくまで紀元前300年頃に移り住んだ元プロトサーキックの信仰形態なので、紀元前4100年〜紀元前1200年の頃のナンム信仰がどのようであったのかについてはジッグラトから回収された手紙くらいしか頼りはありません。

 


洞窟の探査記録
洞窟内の建造物に残って居たレリーフには大きな女性と6人の男性の姿が書かれてます。男性のうち4人は穀物の束、粘土製の板と鉄筆、青銅の円盤と棘が散りばめられた盾、王冠を持って居ます。残りの2人は損傷して読めない……。女性は翼のついた歯車を持ってます。それと、書き間違えた粘土板には

ナンム、ミカンニュの血よ、私の文字を美しくしてください、
練習板の間違いを正せるように私をお導きください

とのメッセージがありました。ナンムとミカンニュが一緒くたにされるような存在であったと読み取れますね。6人の男性なのでてっきりまあたヤルダバオートとアルコーンかなと思いましたが、なんかどうも違う感じもしますね。メカーネでしょうか?URLの先の1564(涅槃の後)が訳されたので読んでみましたが、どうやらすごいMEKHANE信者の様です。瞑想とか信仰心で体が機械化する程度には。
その後探査隊との通信が乱れ、映像にはなんかきもい蛇みたいなモンスターが写っています。気になったら見に行ってみましょう!キモい!!コンタクトが途切れてからしばらく後、とあるエージェントとの通信が一部復活しました。そのエージェントはクソでかい水に満たされた空間に居ます。突然映像にヒトっぽい男が映ります。青銅のなんかを腕とかに装着して居ますが、床から生えた肉のツルが身体に接続されてます。エージェントは男に近づき、男が指でエージェントの頭に触れるとエージェントはバビロニア-アッカド語で話し始めます。意識に入り込むような術ですね。話は支離滅裂ですが、ナンムがあなた(誰を指すのか?)を呼んだ、とか私はかつてジーウースードラだったとか、彼女(エージェント)は死ぬ~だとか言い出します。また、我が民、寺院の僧侶は赤き流れ(アディトゥムの侵略行為と思われる)が来た時に逃げた、あなたなら洪水を止められる、カルキスト・トゥルヴァはナンムを蘇らせるために上の街を生贄にする、とも言いました。その後、映像は切れ、以降探索は中止されて居ます。


まとめ
この土地で起こったであろうことを適当にまとめてみると、ナンムをアルコーンが破壊し、その体の一部の上にある土地に紀元前4100年〜1200年頃にメカニトの要素も含んだナンム信仰の文化が起こります。その後イオン率いるアディウムにより侵略され一度放棄されます。それから900年後の紀元前300年頃にプロト-サーキック・カルトが土地にやってきたが、ナンムの加護を受けられることからナンム信仰に変質した。という感じでしょうね。元のナンム信仰文化がやけに発展して居たのはナンムの影響でしょう。ついでに、カルキスト・トゥルヴァは元々ナンムを蘇らせるためにこの土地に入植させたのでしょう。
アルコーンがナンムをぶっ殺した点や、大戦の時期にアルコーンかヤルダバオートがナンムの寺院を探して居たという点からナンムが何か特別な神格であった可能性もあります。メカーネと思われるミカンニュとかいうのとまとめられているのは確認されていますが。シュメール人の世界観では原初のナンムは「海」という意味もあったので地下に存在する大量の水そのものがナンムの半身だった可能性も……とも考えましたが普通に洞窟にいた化け物がナンムなんでしょうかね。微妙に似て(?)ますし。

 

この記事ははクリエイティブ・コモンズ・ライセンス-表示-継承 3.0(CC-BY-SA)の元で書かれています。