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破棄された論文の束

名前の割に論文形式じゃない

SCP神話中国編

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サーキシズム、壊れた神の教会、その他諸々に伝わる太古の神話。ヤルダバオートとメカーネに纏わる中国のSCPの話です。中国編とは書いたけど他をやるかはわからない。

主に関わる神格、神話、SCP-2481、SCP-2711、SCP-2847、の節で構成してます。

 

主に関わる神格
ヤルダバオート(Jaldabaoth)
グノーシス主義におけるこの世を作った偽の神。デミウルゴスとも呼ばれる。
グノーシス主義は二元論が特徴であり、ヤルダバオートはヤハウェ(キリスト教ユダヤ教イスラム教の唯一神)の対とされる存在です。善なる魂の対として悪なる肉の神でもあります(物心二元論的な)。
SCP内では"神を喰らうもの"、"貪るもの"、"彼の波打つ広漠"、"大いなる選別者"とも呼ばれているらしく、要注意団体サーキック・カルトの教義であるサーキシズムでは宇宙の根本的な力であり創造神ともされます。サーキシズムの性質上崇拝はされていませんが。白痴だとか獣のようなものとされるので基本的に頭は良くないっぽいです。多分。

メカーネ(MEKHANE)
SCPオリジナルの神であり、壊れた神の教会が崇拝する神です。WANとも呼ばれます。機械で出来た神です。メカーネ信者をメカニト/メカーナイトと呼びます。

アルコーン(Αρχων)
こちらも元ネタはグノーシス主義の低位神格。偽の神なのでヤルダバオートと同じ側ですね。
サーキシズムではヤルダバオートに付き従う6体の恐るべき存在とされて居ます。根源的混沌の貌無き顕現とか言われてるのでナイアーラトテップみたいなのを想像するといいかもしれません。

 

 

神話

SCP-2510(我らの壊れたる救済)。オブジェクトの内容とかは丸々飛ばしますが問題は最後にハッキングしてきた何者か……まあこいつハドリウスって言うんですけど、そいつが語る神話の要約です。
大昔の宇宙には神々が沢山いて、その中にヤルダバオートやメカーネも居た。ヤルダバオートが人間の先祖…というか創造神であり、メカーネはその人間に論理や理性など、知恵を授けた存在で、ヤルダバオートは人間を喰らおうと(メカーネが人間に知恵を授けるのを見て怒ったからと言ってます)し、メカーネと争います。メカーネは戦いの末壊れますが、自身を檻としてヤルダバオートを収容します。ですがヤルダバオートは捕まる前に6体のアルコーンを作り、アルコーンはヤルダバオートを復活させるために動いている
という感じです。この部分がメカーネとヤルダバオートに関する神話の大元なのでかなり大事です。

 

 

SCP-2481(大羿射日)
概要、前提知識、-3の証言(夏王朝の発展と夏王朝の滅亡)、気になる部分、解説の節で構成してます。

前提知識は夏王朝、射日神話、女媧と伏羲、太歳について必要そうな部分を書いてるだけなので知ってたら飛ばしてください。あと証言はぐちゃぐちゃしてるので解説のまとめみて本家記事読むのが一番良いかもしれません。

 

概要
SCP-2481は商王朝時代の遺跡の地下に存在する球場の空間です。中には高温で熱された跡のある立方体っぽい構造物(-1)と、打撃を受けた痕跡のある円柱(-2)、-2の下敷きになってる蛇人間(-3)から構成されます。
蛇人間とは古い中国語である程度の会話ができます。-3の証言については、SCP関係ない実際の中国神話や歴史とSCPオリジナルの部分が含まれるので、一旦普通の中国神話と歴史について関係ある部分から書きます。知ってたら飛ばしてください。

 

前提知識
夏王朝
紀元前1900年〜紀元前1600年に興った中国最古の王朝です。長らく実在しない伝説の王朝と思われて居ましたが、近年になって考古学的な証拠が見つかり実在の可能性が浮上して来ました。初代皇帝は禹(う)で、最後の皇帝は桀(けつ)です。夏の次の王朝である商/殷王朝に滅ぼされました。禹王は大洪水の後の治水に対して、失敗した父親の鯀(こん)から引き継ぐ形で当たり見事功績を挙げました。
射日神話
天帝(天上の帝)である夋(しゅん)の10人の息子は、のちに太陽に成る金烏(きんう)でした。金烏は火烏とか日烏とも呼ばれる太陽の化身の様なカラスです(日本で言うヤタガラス)。金烏達は本来1日1匹で地上を照らすはずだったんですが、帝堯(ぎょう/地上の帝なので天帝ではない)の時代になると理由は不明ですが一度に10匹現れて地上を照らし、そのせいで地上がハチャメチャに熱くなったので堯は困り果て、夋は助けになるように羿を遣わします。説得が通じなかったので1匹残して9匹射落しました。めでたし。
女媧と伏羲
女媧(じょか)と伏羲(ふぎ)は中国神話の蛇身人首の神です。兄妹とも夫婦ともされます。一般的には女媧が人類の創造神(泥をこねて作った)であり、伏羲は天地のことわりを理解して八卦を作ったり様々な文化を作る神です。

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太歳
古代中国の天文学で用いられた木星の鏡像になる架空の惑星です。

 

-3の証言
羿を自称してます。♂

夏王朝の発展
かつて父たる蛇は人間に文字と機械(伏羲八卦)を教え、黄帝はそれを生かして蚩尤(しゆう)と炎帝を討った。禹王の時代には洪水がいくつも起こり、治水が上手く行かなかったため伯益(はくえき)に助けを求めた。伯益が伏義が女媧を太歳(たいすい)の星に捕らえて800万年が過ぎ、現在では悪意に満ちた龍や蛇が川にいるため太歳を調べる必要があると言ったので禹王は八卦に基づいて塔を建て、またのちに巨大な船を作り月や火星を通り太歳へと向かった。啓王の時代には太歳に通じる門がつくられた。
夏王朝は徐々に発展し禹王の塔は増え、神々をも殺せる剣が作られた。剣は偉大な先祖黄帝の本名にちなんで軒轅の剣と呼ばれた。

軒轅の剣の作動原理は破壊ではない。あるものの形、心、始まりから終わりまでの歴史や成り行き、そして因果を存在しないことにするのだ。

夏王朝の人々は母たる龍と父たる蛇と同じ姿になるために12歳で蛇の姿に、支配者は龍の姿になる術を学ぶ。

 

夏王朝の滅亡
商の人々は龍の道も蛇の道も知らず(ヤルダバオートもメカーネも崇拝していないということ)、その一方金烏を崇めていた。皐王から発王の時代にかけて商の人々は時の王により機械で退けられたが、金烏を崇めていたため生き延びていた。裏切り者の俊は炎と生贄を用いて三足の烏(金烏)たちを召喚し、桀王は十の官吏に軒轅の剣を持たせ、戦いの果てに十の剣が使われ9の烏が墜ちる。

9つの剣が使われたとき、天と地は激しく乱され、自らに炎を招いたのだ。その力は金烏ではなく、夏に降り注いだ。壊れた剣の力を生き延びた私を除き、全ては灰となった。

ちなみに残った1匹の金烏はSCP-1428として収容されてもいます。

 

気になる部分
黄帝は蚩尤、炎帝と戦った。蚩尤は彼の体を伏羲への供物とした。蚩尤は討たれる際に「我と我の81の兄弟は皆真鍮の龍の祝福を受けたり。我らは誰も傷つくるのせられざる真鍮と鉄の体を持ちたり」と言い残す。炎帝は女媧に祈ることで不死となり肉を違った形へと作ることができた。
伏羲は父たる蛇であり、我ら(古代中国人)にまず文字を教え、八卦を教えた。八卦に従って機械が作られ、その時より我らは蛇の道を歩み始めた。
女媧は鋭い爪と牙を持つ母たる龍であり、彼女に付き従う6匹の獣が居た。伏羲と女媧は戦い、伏羲は彼自身の体を檻にして女媧を封じた。

昔有诸神趋于大渊,如萤趋火。大渊者,归墟之地。有大龙者二,以神为食。其阳者,金之灵也,曰伏羲;其阴者,肉之神也,曰女娲。二龙相配,遂生人。人者,龙裔也。

神は、虫が炎へ飛び込むように、大いなる深淵へと集まる。深淵は归墟(Guixu、グィシィ)とも呼ばれる。そこには神を食らう二匹の龍がいる。ひとつは陽を表し、金属の霊であり、伏義と呼ばれる。もひとつは陰を表し、肉体/肉の神であり、その名は女媧である。二つの龍が交わって人が生まれた。よって人は龍の子孫である。

 

解説
多くの共通項からまず
伏羲=父たる蛇=MEKHANE
女媧=母たる龍=ヤルダバオート
太歳=ヤルダバオートを捕らえるメカーネの檻
軒轅の剣=SCP-2481-2
禹王の塔=SCP-2481-1
羿=SCP-2481-3 です。

夏王朝についてまとめると
夏王朝がメカーネに授けられた技術で栄える。

金烏を崇拝していた商王朝によって攻撃されます。

軒轅の剣(現実改変兵器)を用いて応戦するが暴走して"夏王朝"が滅び、ほとんどの痕跡が消える

商王朝が栄えるが、軒轅の剣の効果で夏にまつわることを忘れていたため残っていたSCP-2481を纏めて埋める

商王朝の遺跡の地下で見つかる←イマココ

という感じです。つまりは夏王朝は古代中国のメカニトということですね。かといって商がヤルダバオート崇拝ということもなく、その他の神である金烏を崇拝していました。
黄帝八卦を学んでたみたいですが、同時にメカーネ崇拝の蚩尤、ヤルダバオート崇拝の炎帝とも戦っています。
軒轅の剣は…まあ独裁スイッチみたいな現実改変兵器です。メカーネ由来の技術で作られた現実改変兵器は他にもSCP-2406(巨像)とかありますし。未だに効果があるらしくてSCP-2481はそれのせいで中が高温だったり、羿が生きてたりします。ちなみにサーキシズムタグ付いてますがサーキシズムあんまり関係ありません。サーキシズムはヤルダバオートにより力を得たイオンを崇拝する宗教なので、夏王朝が戦ってたヤルダバオート信者たちは別にサーキシストということもありません。というかサーキシズム自体はアディトゥムが滅んだ紀元前1200年の後に生まれたものですし、サーキシズムの前身とも言えるアディトゥムにしても紀元前1800年頃のイオンの反乱から暫く後ですし。時系列でいうと

紀元前1900年 夏王朝誕生
紀元前1800年 イオンの反乱
紀元前1600年 夏王朝滅亡
〜アディトゥム黄金期〜
紀元前1200年 大戦によりアディトゥム滅亡
その後 サーキシズム誕生

なので微妙に被ってないんですよね、お互い存在くらいは知ってたかも知れませんけど、イオンの反乱は西シベリアあたりから起こったので中国と距離ありますし、黄金期に至る前に夏王朝は滅んでるのでむしろ商王朝(紀元前1600年〜紀元前1000年)の方が関わってたかも知れないぐらいです。が大戦期に書かれた書物商王朝の記述が見当たらないので関係なかったっぽいです。

 

SCP-2711(定海神針 如意金箍棒)
にょいきんこぼうと読みます。長さ33cm、直径3cmくらいの鉄の針です。針っつーか棒じゃね?って感じですけどiron needleって書いてるんで針です。元ネタは西遊記に登場するニョイ棒。そのくせ伸びません。
2711は、20L以上の水塊と触れると、その水塊を科学的な組成や見た目はそのままに鉄の物理性質を持たせます。つまりめっちゃ硬くなります。効果は1秒あたり20Lの水に効果をもたらしますが、触れ続ける限り5分ごとに倍になり、全ての水を鉄にすると終わります。離すと影響を受けてた水(2711-1)はただの水に戻ります。2711には夏王朝時代の文字で銘があり、

伏羲之针,禹王复铸,定诸水、困凶兽、止洪灾。
(伏羲の針、禹王が鍛え直した。水を鎮め、猛獣を捕らえ、洪水を止める。)

と書かれてます。
ちなみにこの文章は横線で消されており、上から秦王朝時代の字で如意棒と書かれてます。仏教僧のような格好のアカケザルの死体が持ってるところを見つかりました。孫悟空ですかね。
元ネタの棒は元は禹王が海や川の深さを探る時の重りとして使っていた定海神針という名前でしたが、そのあと竜王が持ってました。そして、それを孫悟空が奪った形になります。

 

SCP-2847(大禹、偉大にして不死なる王)
アクセス制限無しの方(keterの方)を前提で書きます。

SCP-2847はSCP-2711のような針です、長さは少し短いですが。つまり、20L以上の水に触れると見た目はそのままに同温度の鉄の物理性質を持たせます(以下その状態の水を-1)。SCP-2847は中国河南省の地下湖をまるまる-1に変化させています。湖には、-2に指定される漢族男性(一部蛇化している)と、-Kに指定される全長900mくらいの蛇状の生物、-3に指定される紀元前に作られたらしき人工知能を積んだコンピュータです。あと特別に指定はされてませんが湖の中に他にも-Kより小さい蛇状の生物が居ます。
-3とは話すことができます。当初は自身を伯益と自称していましたが、後に伯益を基に作られた人工知能であると暴露しました。

 

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解説
2487は何がどうなってるのか、簡潔に言うと女媧(ヤルダバオート)を崇拝し怪物化した奴らを-2が伏羲(メカーネ)に与えられた技術を用いて作られた2847を使って湖に閉じ込めてるということです。
湖の中の殆どの実体は死んでますが、ひときわ大きな-Kは生きています。そして、-Kは禹王です。2481のあたりで解説しましたが、禹が初代皇帝を務めた夏王朝はメカーネを崇拝する文明でした。勿論禹もメカニトです。何故禹王がヤルダバオートを崇拝しているのか?
事の始まりは禹王が治水に当たっていた頃になります。2481でも書きましたが、禹王は洪水が頻発し、治水が上手くいかないことを受けて伯益に助言を求めます。伯益は伏羲が女媧を太歳へと封じてから長い時間が経ち、再び悪意ある蛇や竜が川を荒らしていることに原因があり、太歳(架空の惑星)を調べるべきだと言います。そして、禹王は塔を建てた後宇宙船を作り太歳へと旅立ちます。というのが2481で言われていたことですが、これには続きがありました。
禹王は太歳から戻ると鍛えた針(2711や2847)を用いて獣を倒したり洪水を沈めたりして夏王朝は再び栄光を取り戻します。帰ってきた禹王マンはメッチャ持て囃されていたらしいですが、最終的には宇宙の割れ目で見た物を忘れることができず、不死性を求めるようになります。禹王は蛇の道(メカーネ由来の技術)を捨て、密かに女媧を崇拝するようになります。夏王朝においては、祖先に当たる黄帝が戦った炎帝が女媧崇拝者であったことから肉の研究(ヤルダバオート由来の有機物操作的魔術)はたとえ習得のためでなくとも控えられていました。ので禁忌を破った形になりますね。禹王は生贄を捧げ、6つの獣(アルコーン)に力を授けられることで強大な力を得ます。その後もアルコーンの求めるままに生贄を捧げ、賛同者も現れます。そして禹王はヤルダバオートを蘇らせようとしたため、伯益と争います。伯益はメカーネ由来の機械を用いて戦いますが勝てず、遂には禹の父親である鯀(こん)が立ち上がります。鯀は-2です。鯀は禹に賛同するフリをして湖に誘い込み、今の形に封印します。-3は伯益自身が鯀のお供として作りますが、普通に長い時間の末に鯀は狂いました。ので今は意思疎通が取れません。
2847は2711の中でも特別製で、鯀が生きて握る限りは水が破壊されても直ぐにまた鉄の性質を持つようになっています。そして鯀自身も命をつなぎ止めるため、背中に特殊な針を刺しています。ベリリウム銅製なのでメカーネ由来のものでしょう。あたりまえか。ちなみに何故鯀がSK-BIO指定されてるかについては、恐らく封印の際に禹かその仲間の誰かに肉の一部を操作されたからだと思われます。鯀自身はヤルダバオート崇拝者ではありません。ちなみに夏王朝の子孫は他の世界線に逃げたようですが、その子孫が残したと思われる断片も見つかっています。
-3は終焉について語ります。それは伏羲が完全な形になるとともに、女媧との争いの続きを行うことを意味します。夏王朝の子孫はブマロにも接触しているようですが、壊れた神の教会がメカーネの欠片を集めメカーネが完全体に近づくにつれてその終焉が近づくとも言っています。
この先、メカーネとヤルダバオートに関連する、つまり壊れた神の教会やサーキック・カルトについてこの終焉が仄めかされることもあるかも知れません。